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イエスは女たちの方に振りむいて言われた
「エルサレムの娘たちよ、わたしのために泣くな。
むしろ、あなたがた自身のため、
また自分の子供たちのために泣くがよい。
〜ルカによる福音書 23章28節〜
民衆が待っていた”良い報せ”を語り、数々の奇跡を行ったキリストも
神をも畏れぬ不敬な人物とされ裁きを受け
いよいよキリストの人生の最大の見せ場、
クライマックス、極限の愛の実現である
磔刑に処される場所までの最期の道行が始まります
既に彼は石打ちの刑をその身に受けましたから
皮膚は裂け、血まみれです
恥を隠すための布もはぎとられ
頭には荊で編まれた王冠を頂き
人々の好奇の目と蔑み、罵詈雑言の雨に晒されています
その身体を磔るための重い十字架を背負い
何度も倒れながらひたすら歩き続けます
あまりの惨たらしい姿を見て
彼を信じ慕ったエルサレムの婦人たちは涙にくれていました
そんな彼女達たちに向けて投げかけた言葉が冒頭の一節でした
キリストは語りかけます
わたし達の心の中に
未だ気づかれずに放置されているいつかのわたし達
傷つき、血を流し、更に鞭打たれ
憐れむ者もなくただひとり
ものも言わず在り続けるわたし達を見よ、と。
キリストのために流したあたたかな涙
目の中にある全てのプリズムを洗い流し
在ることを在るように
ひかりをただ、それとして見る目にしてくれる、その涙を
あなた自身のために
そしてあなたの子ども達のために流しなさい
もしあなたが
傷ついている誰かのために
悲しんでいる誰かのために
苦しみもがいている誰かを目の当たりにして
慈しみの涙を流すのなら
あなたの中の奥深くにも
見つけて欲しくて
でも、ただ黙っている”誰か”を
見つけてあげて欲しいのです
その、小さくて目立たない一歩が
あなたを愛まで連れ戻してくれる大きな一歩となります