父の顔が変わった話
父の顔が変わった話

父の顔が変わった話

父と母の縁は深く、今生はふたりともただただ学びのために出会ったとしか言いようのないふたりです
ご立派な()血筋の家系の父と江戸っ子と京都人の特徴をまんま受け継いだ母はまさに凸凹なのですが
ハマればぴったりであろうに、互いに相手が自分とは違うと嘆き続けた夫婦関係だったんじゃないかと思います

すらりと背が高く都会っぺの雰囲気を身に纏わせた父はひたすらモテモテで(笑)
まあ三次元的に見れば母に対して不誠実だった面も多々あるなと思います
女性とのあれこれを早くから察知したわたしからバッキバキにやられたわけですが
わたしが夫から家を追い出されて実家に舞い戻った数ヶ月間、初めていろーんなことを話したとき
わたしがいたから、家に戻ることを決意したと言っていました。
すごくすごく可愛い娘で、大切に思っていたんだそうです。
まあ、わたしの気持ちとしては「あっそう」というくらいで申し訳ないけど。

母という女性がこれはもうとんでもなさすぎて良く生きていられるなというほど方々に敵が多いのは
弱さを隠すためにひたすらキャンキャン吠えまくるのと
そのくせ自分大好きで他者を慮るってことが全く出来ないばかりか
聖書という隠れ蓑の陰から全世界をギッタギタに裁いているせいだと思っています
兎にも角にもバチバチのクセ強で、めちゃ攻撃するくせに反撃すると途端に弱者ぶるという卑怯な戦法をとるのですが
娘という立場を使ってそれを意に介さないわたしを異常に恐れています

父にさんざん守られているくせにギャーギャー文句ばかり言うので
たまに父はキレて家出をするのですが(笑)
マンションの外廊下で所在なさげにずーっと帰って来るのを待っていることがあって
たまたま用事でその場に出会したわたしが
「自分から謝れば?」と言ったらば「どうしてみんなわたしばかり悪いって言うの?」と返して来て閉口しました。

謝るというのは悪い方がしなければならぬ、という思考回路でいるのでしょうが
ひとがぶつかり合うのに良いも悪いも無い、ということと
仲直りしたいひとが先に謝るものなのよと話したのも理解されることはありませんでした。
「お父さんがこのまま事故かなんかで帰って来られなくなっても後悔しないかどうか良く考えたらいい」と去り際に言い残した時
「なんでそんな怖いこと、言うの?」と半べそで言う母を見て
そういう、怖いことになりかねないことしてるのは自分でしょ。と呆れてしまい
それ以上は何も受け付けない目をしていたので話はそこで切り上げました。

父がいつだったかポロりと
一度で良いから…何かを話したとき「そうね。」と言って欲しかった、と吐き出したときには
切なさと共に、こりゃ来世またなんかやり合うんじゃないかという予感めいたものが湧き起こりました。

が。
父は変わりました。
少しずつ物忘れが進み、忘れていたことも忘れているという
割とガチめの状況になりつつあるのですが、それを母から指摘されたとき
「もはやこれまで」と肩の力が抜けたように見えました
今までと顔つきが全く違うのがわかったのですが
ひとは自我を宥められるようになるとこんなに素直な顔になるのだと驚きました
まあこれからも母とは一悶着あるのでしょうが。

ふたりが仲良くこの世から手に手を取り合って旅立つ日がそう遠くないと良いな、と思いました。
母はきっと父がいなければ生きていけないから。
まあ、次の世ではもう少しくらいは可愛い女に産まれなさいよ。

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