好きだから会いたい
好きだから会いたい

好きだから会いたい

んなこたわかってるし古今東西1mmとて変化はない心情でせう。
けどさ…そうも言っていられない世の中なんだってよ

夜中いきなり部屋の電気が点いて
「ママ、四女が補導されたー」と三女に叩き起こされた。
補導?補導ってことは本人は無事やん…
寝ぼけた頭で我が子の無事だけはなんとか判断する。
途端にまた眠気が襲って来て…
眠いんだよわたしは…
「へー。」とだけ答えてまた寝入りそうになるのを揺り動かされる。

「ママの携帯に何度か着信してるはずだから折り返して下さい、ってよ!」
…でも眠いにゃ。
「ママ!」
うるさいなぁ…

補導されてもお迎えは行かないよ、ってのは
ずぅぅううううーっと昔から言ってたでしょうよ…
事故でも怪我でもなく補導でしょう…

内心悪態をつきつつも、促されるままとりあえず
まだ目の覚めきらないまま携帯に手を伸ばして着信を確認する。
あー、2回しかかかって来てないやんか…起きるわけないでしょそんなもん

はぁ。
折り返しの電話をするとすぐに相手が出る。
「夜分遅くすみません、わたくし⚪︎⚪︎警察署の⚪︎⚪︎と申します…」
と、ここでやっと目が覚める。
夜分遅くって
ほんとそれ。
市民の安全を守るために御勤めご苦労様でやんす←

で、まあ一応聞いてみる。
「あのう…泊めてもらえるような設備は無いんでせうか…」
残念ながら…と応える声が説明してくれました
今回、一緒に補導された子が18歳の男の子だったとかで
県の青少年健全育成条例違反で事件化したい、と。
故に四女は被害者となるため留置所には入れられない。

…はぁ。
承知しました、では準備を整えて参ります。と。
もうね、ヨレヨレよ。

でも、あることがあたまを過る。
うーむ、最近夜が遅すぎるから補導されないかなーと思っていたこと。
今朝は学校も休んだし、ぼちぼち今夜あたりかな…となんとなく予感していたこと。
まあね、でもね、ホラ。偶然よ、偶然。

でも…
印鑑がなくていろいろと書類を作成するのに面倒だわ、と
印鑑を部屋に準備したのがほんの数日前。
そういや調書作成するので印鑑を持参しろ、と言われたとき
やけにバチっとタイミング合わせてくるなと思ったわ。

はぁ。

ムスメが夜間外に出歩くようになったら、と心算りはしていて
もしかしたらいつか本当に
ボロボロになって遺棄される、なんてことにもならないとは限らないのだと覚悟をしていたけれど
それが現実になったらどんなにか辛いか、と思った。

夜なのにやたら煌々と灯りのついた部屋で事情聴取を受けていると
これは安置室でなかったことを幸運と思わなくては、と思い至り
やっぱりもうスマホは持たされんなーと考えを巡らせていた。

すると対応してくれていた刑事のひとがまるでそれを見透かしたように
「これから起訴に向けて証拠を揃えなくてはならないので
2人分の携帯電話を押収させて頂くことになります
ログの解析などでしばらくお預かりすることになるのですが…」と言った。

あら、それはどうぞ。
どうせ今夜受け取ったら初期化して解約しようと考えていたところですから、と答えると
では預かりに許可をして頂いたということで宜しいですね?と返ってくる
はいはい、どうぞ宜しくお願いします。

結局、相手の子は略式なり正式なり起訴されることになる。
それも、わたしが原告ということで。
どこかのお家の大切な息子であろうその子は18歳で前科がついちゃうんだわね…
「気の毒に」とわたしが言うと警察官は言う
条例を軽く考えているひとが多すぎて事件が絶えない。
本人の意識を変えてもらうことが結果としては良い影響になると信じている、と。
まあそれはそうだけどね。

好きだの会いたいだの、が理解出来るだけに可哀想な気もするけれど
補導対象時間外にしてくれと思うのは当然で
それは補導されないように、ってことではないの。
補導されるって本当に幸運なのよ。
深刻な事件事故に巻き込まれて命を失うひとって本当にいるの。

まぁでもさ、お腹いっぱいよわたしゃ。

次いで聴取が終わったムスメがのこのこ相談室から出て来て絶句。
「寒そう…」
本人なりの精一杯のオシャレで長い長い脚がぜーんぶ丸出しになるようなショーパン
おめえ、今夜11℃だぞ?

そのまま見送られて後にした警察署からの帰り
好きなら互いに大切にしなあかんのよなぁ、とそれしか言葉が出てこなかった。

帰るなりまた潜り込んだわたしのベッドには末子がぐっすり眠っていて
ほどなくまたわたしも眠りに引き込まれる…

その先の夢でわたしはとても憤っていて
四女の服が千切れるくらいに乱暴に引き寄せてボコボコにしていた。
四女の手伝いをした、と言って三女の携帯もぶち割って
「おまえら!」とか言って怒鳴っている夢。
なんでそんなに激昂してるの?と、
そんな自分にめっちゃ疲れてどんよりしていたら5:00のアラームが遠くのかばんの中で鳴って
はぁ…今日が仕事じゃなくてほんっと助かったわ…とだけ思った。

どよーん、とベッドから這い出してキッチンに向かいお弁当の支度をいつも通り始める。
…で、これで三女と四女が学校休むつったらマジでキレるわ。と
自分が本気でキレたら何をするかわからないので(笑)
いそいそとそれぞれの部屋に行き「起ぎんがゴルァ」と叩き起こして送り出した。

好きだから会いたい、好きだから会わない。
そんなことを感情を超えて飲み込むなどというハードなことを
まだまだ青い春のひと達に伝えなくちゃならないのか…と思うと
そのためにわたし自身が試され続けたのだなーと感慨深い。

好きだから会いたい、は愛じゃねえんだよなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA