今年もお隣の庭の豊後梅が我が家に届きました
完熟するまで枝につけておいて欲しいというリクエストも快く聞き入れてもらい
「さっき、もいだから」と
赤ちゃんのおててならいっぱいになりそうなくらい
むくむくと大きく育った梅の実は
桃のような甘い香りを辺りに漂わせていました
毎年我が家ではそれを
わたしの大好きな甘くて塩っぱい梅干しにしていました
ひと粒ずつ洗って、ヘタをとって
天然塩と梅酢につけて約一ヶ月
土用の頃になったらまたひと粒ずつ種を抜いて干します
三日三晩、お天道さまと夜風にあたったそれを
予めもいで塩漬けにしておいた赤紫蘇でくるんで
ザラメ糖と焼酎でじっくり漬けて数ヶ月、梅肉が透き通ってきたら出来上がり
手間も時間もずいぶんかかりますが
だからこそこの梅が見てきた風景や毎日の出来事やなんかを丸ごと食べられるようになるのです
春の気配がまだ本格的に始まる前から
小さな白い花がほんのり良い香りを漂わせるから
あゝもう間も無く冷たい風も和らぐんだな、と心を踊らせたり
朝な夕なに出かけて行くうちの子を静かに見下ろしてくれ
時には聞こえてくるママの怒鳴り声だって可憐にスルーしてくれた梅の実ちゃん
それをね、今年はわたし梅シロップにしちゃったの。
甘くて美味しい蜂蜜でコトコト煮詰めて優しく灰汁をすくって仕上げました
出来上がったのは、それはそれは優しい酸味のある梅シロップ
ヨーグルトに混ぜても、お湯割りもソーダ割もきっと美味しい
なのにね、気分が落ち込んでいるんです(笑)
それがどうしてなのか、追いかけてみたらね
何ヶ月も、というか昨年からずっと待っていた梅仕事を
たった一日で終えちゃったことで、ずっしり重い喪失感を覚えてしまっていました
その根っこはわたしの性格の傾向。
目標を達成するために、作業を効率化することは好きだけれど
今回のように目標をお手軽に設定したことが痛かったんです(笑)
大切に大切に思っていたの。
そこら辺で買ってきた梅じゃない
それを重々感じていたのに裏切っちゃった(と、勝手に思ってる)
でもね、これも良かったんです
来年からはまた、あの梅干しを作るもの。
自分の性格も改めて良くわかったし、ね
今年の梅シロップも、美味しくいただきます
みんな、みんなありがとう