負けるもんか
そんな思いを胸に激らせております。
メラメラメラメラ…
なんてね…うまく行かないのよ。
そもそもね、わたしはギラギラしてないっつーの。
そりゃあ、認めます
この、立派すぎる体躯のせいで
この、塗りたくれば派手に見える能面顔のせいで
この、ワーワーと良く通る騒音ボイスのせいで
な…なんつーかその…すっごい圧を感じさせることもある、ということは。
だけどね、本当はねわたしなんて
ちっこい、ちーっこい、ほんの小さな虫ちゃんなみに小さな小さな者なのよ
必要以上に虚勢を張って自分を大きく見せようだなんて思ってもいないの。
いいのよ、お部屋の片隅の壁にちょこりんと止まっている行き場を見失ったてんとう虫のような者なの。
だのにー
なぜー
はをくいしばりー
きみはーゆくのかー
そんなーにしてーまでー
はぁ。しんどいわ…
わたしとても打たれ弱いのよ
辛辣な言い回しだとか、切り口上だとかそういう
乱暴な会話がとても苦手なの
ええ、わかっているわ。
わかっているつもりなの
あなたのその、切れ味鋭い言葉はなにも
わたしという人格に向けたものではないってことくらいはね
ええ、わかっているわ。
こちらが息も絶え絶え打ち返したボールを
なんならネット超えてでも即座に打ち返してくることはなにも
わたしを倒そうとしているわけではないってことくらいはね
でもね…
しんどいの。
だって
だってわたし
ヒマじゃねえんだよ
あ、いけない
つい本音…じゃなくて心の底の澱が…じゃなくて
おいおい、いつまでも黙って聞いてるとおもってんなよ…じゃなくて。
ねえ
どうしてみんなそんなふうにケンケンケンケンやんややんや言うの?
誰が正しいって言うの?
この世の中みんな、弱くて嘘つきで自分勝手で…
でも、それでも笑って過ごしたくて踏ん張ってるんだと思うの
弱さ、嘘、勝手な言い分を論ってなんだって言うの?
相手を貶めなければ浮上出来ないだなんて、どうして思うの?
そっか、あなたもしんどいよね
実はわたしもなの
痛いよね…どこが痛むの?
手が届かないならわたしが手を当ててあげるよ、ほら。
そういうことじゃないの?違うの?
ギスギスするのやめようよ
負けないわ。
わたしはそんなイラチばっかりの世の中に負けやしないわ
このくそったれな世界にこちょこちょをおみまいしてやる
みんな、ふふ、とでも笑ってよ
お願い、そうしようよ。
胃が痛いからお散歩に行こう
空が夕暮れに色づき始めたからきっと風も心地良い頃。
ドアを開けてそろりと歩き始めよう
