新月

本格的な春到来の前の静かな暗闇がやって来ます
あなたは誰ですか、と問われる闇

闇は決して恐ろしいものではない
奥深く、わたしだけが立ち入れるそこにこそ
すっかり忘れている小さな、でも温かい
決して消えない灯りがあります
どんなときも、どんなことがあっても
その灯明さえあればわたしはわたしとして歩を進められる

闇の前で足がすくむのは自分が自分に問うからです
何があっても受け入れる覚悟は、ある?
どんなことが起きるか
きっと、小さな「死」がたくさん待っています

思い通りにならないこと
耐え難い痛み、あるいは逆にナニモナイ瞬間の訪れ
先行きの不確かさ、足元が見えない恐怖
それらと出会うたびにわたしは
「装備」を剥ぎ取られて行きます

いやだー
こわいー
やめたいー
にげたいー

でも、向き合うしかない。
12回の出産はいつもとてつもなく怖かった
「何度も経験してるのに、怖いの?」とよく問われました
いえいえ…何度も経験しているからこそ、怖い。

文字通りのたうち回るような痛みがひたひたと近づく
徐々に狭まる間隔、それすらリラックス出来なくなる。
緊張、不安、激しい痛みの繰り返し、そしてクライマックス。

新しい命の現れに触れた瞬間
まさしく稲妻がわたしを駆け抜けるのです
「可愛い!」
それまでの全てが祝福に変わる瞬間。
わたしの中から発露している
しっとりと濡れた暖かな塊り、わたしではない命

はぁ。
しんどいわー
いややわー
こわいわー

残り半月。
デスクにいさえすればお給料のもらえる生活が終わります
ぎゃー
いやー
やめてー

ふぅ。

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