天の配剤

天の配剤というのは人智を超えているな、としみじみ思う。
流れに棹さす、という言葉があるけれど、なんなら流れに抗ったとてそれもまた良い。
勢い良く自在な清水の流れの中に、それを分かつべしと息巻くひとの立つのを横目に見ながら
あら、ごめんあそばせと言わんばかりの軽やかな飛沫となって四方八方に飛び去り…何事もなかったかのようにまた流れに戻って行く。
ひとなど、ほんの小さなものなのだと思い知らされつつも
それでもなお「わたしとは誰か」と問いたくなるのは
「わたしらしく生きるとは何か」とそこかしこを無様にほじくり返したくなるのは
この世という遊び場を生きるわたし達の特権なのだろうか。

さて、炎のように燃え上がったように見えた参院選が、今もまだパチパチと余韻冷めやらぬ炭の燃え滓のように
まだまだ触れてはならぬ、とも思えるような熱を帯びてこちらを睨みつけているようだ。
我が家の子ども達は「その日」までの流れをどう見たのだろう。
sns選挙とも言われた今回の選挙は、わたし達のようにあれやらこれというこれまでの流れの中にいやおうなしに立たされ…立つこともままならずに渦に投げ込まれたようなオトナ達ではなく
うぶでこころ柔らかな「愛すべきおバカさん達」をターゲットに絞ってはいなかったかと振り返る。

誤解を恐れずに言うなら…日本はもうずいぶんと前からゆっくりと静かに消えつつあるのではないだろうか感じている。
目に見えるように残されている、それこそ民主主義だとか言論の自由だとか基本的人権だとかいうものの実態はたぶんもう、無い。
AIが台頭し、ホンモノとそうでないものを見分けることなどまず出来なくなった。ホンモノとはなにか?そんな問いを立てるところから始めなければなにも話せない。
たとえそれが確かに過日の本人の残像であっても、別の思惑を持ったひとによってそれが全く違う(或いは僅かに逸らされて)「きりとり」されることが当たり前になり、スマホの向こうに蠢く研ぎ澄まされきった迷いなき利己主義の恐ろしさなど疑いもする前に…若い層が音もなく斬られて行く。
首をすげ替えても、死に体は息を吹き返さない。とすればまだ命の限りまでの猶予がある、と思い込んで日々を受け流して行くわたし達に「生きる」という選択肢はもうないのだろうか。

ないわけは、ない。と、思う。
社会だとか環境だとかいうものはどんなふうに見えていたとてそれはある視座から「切り取った」側面のひとつにすぎないのだと自分が思えば、そうなる。
天の配剤…日本人とはごく自然にそれを引き寄せる力を持っていた。あらゆるものの中に神を見出し、どんなことも益なのだと”信じ込む力”を持っていた。

この世界に、純度100%の悪というものは存在しえない。
どんな出来事にもごく僅かな点、ですらない気配として「全体」とは異なる性質の何かを含んでいる。なぜならこの世界はここに生きるすべてのひとが内包される世界だからだ。好むと好まざるとに関わらず全ては

…なんてことを書き連ねていたのは大好きな歯医者さんの待合室。
いや、歯医者さんでしていだだくことは苦手です。とっても苦手。
でも、この歯医者さんはとてもすてきな歯医者さんなんです。

でね、今日はメンテナンスだったの。
超音波が嫌いだから…手でカリカリ…お掃除をしてもらっていました。
申し訳なさと気恥ずかしさが交錯する中で、だけどこれも習慣化させるためなの、慣れるまでの辛抱なんです、、ごめんなさい…と手を合わせながらじーっとしていたらね

「reicoさん」と声をかけられました。
へ?いまあんぐりお口開けてますけどなにか?
タオルを取っていただくとそこに見えたお顔は受付の方。
せ、詐術中に受付の方…??
頭の中がややパニック(小心者故)ではあるものの、問われていることには正しく答えて行く(笑)

「本日は車でお越しですね?」
ーええ、はい。
「車種は…ベージュの、ロッキーでしたか?」
ーあ、はい。
「ナンバーは3ですか?」
ーお、はい。

そりゃ確かにあたいの愛車ちゃんだが?
「申し訳ありません、他の患者さまが車をこすってしまったとおっしゃっていて…」
へ?
「すみません、大変申し訳ないのですがいったん中断してご対応をお願いしてもよろしいでしょうか?」
ほげ?
「あの…スタイを外して頂いて…恐れ入りますがお外まで…」

果たして、なにがなにやら頭の中にハテナが渦巻くまま靴をはいて外へ出て…
「あれ?校長先生??」
目の前で実に申し訳なさそうにしていたのはなんと我が家の四女が小学生だった頃に大変お世話になった校長先生。

平身低頭、これ以上ないほど気の毒な表情だった校長先生が今度はハテ?になる番(笑)
「あの…どなた様でしたでしょうか…」

そりゃ歯医者さんに行かなくちゃならなかったわ
駐車場で誰かの車に引っ掛けちゃうわ
出て来たひとがいきなり職位で呼ぶわで、ねえ。
そりゃ驚かれたことでしょう。
ただでさえまんまるの目をさらにまんまるにして
なんならお口までまんまる。

いやー、こりゃ失礼しました。
実は校長先生が小学校で校長先生でいらっしゃった頃、うちの子が大変お世話になりまして…
気の毒な校長先生。
あらー、それは懐かしい!と言いたいけどいちおう、車こすっちゃったしな、、と
彼方此方、、思考が揺れていらっしゃる様子が手に取るよう。
ああー、ごめんなさい、返って申し訳ない!

実は、この校長先生のことを少し前にぼんやり思い出していたんです。
とっても、とっても、良い先生でした。
通常、校長先生というのは保護者対応には出て来られないことが多いんです
教頭先生が対応して下さることが多いのですがこの先生は違いました。

我が家の厳しい実情に心を砕いて下さって、当時まだ直接の問い合わせ先を知らなかった様々な公的機関に直接取次ぎをして下さいました
校長室で、ご自身の教育に対するお考えというのを平易な言葉でお話してくださり、責任感を持って職務に就かれていることを肌で感じていました

…みたいなことを捲し立てて(笑)
保険の手続きをしますから、ということになって…
「じゃ、わたしはまだメンテナンスがあるのでー」と歯医者さんに戻り…
再び気を取り直してカリカリ…

うん。
落ち着いてぼんやりしていると
あ、そうだ。
助手席にクラファンのフライヤー置いてあったなー
あれ、お渡しすれば良かった…
先生方のために、保護者も動き始めているんですよってお伝えすれば良かったなぁ
ま、いっか。

カリカリ…を終えてすっかりピカピカになってご機嫌。
受付で支払いを終えると受付の方が「途中でお呼びして申し訳ありませんでした」とおっしゃる。
なにをなにをそんな…しかも、お相手の方大変お世話になった方で…
と、そこまで話したところで声をかけられました

振り向くと、あれ?
うん?校長先生どうしたんです?
ーわたしも今からなんです、と。

あら。
なんと。
奇遇な。

というわけで
クラファンのフライヤーを6枚、お渡ししちゃった!
必ずどなたかにお手渡し下さいね…と
呪い
じゃなくて念を込めて(笑)

いやー、ほんっと天はワレワレワレを導きたもうのであーる。

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